KalsonHus #4
伝統から現代の造形をつくる
KarlsonHusは、造形を大切にしています。世代・時代を超えて資産価値を保持し続ける住宅にとって、造形はとても重要な要素だからです。しかし、造形は、世代・時代によって流行り廃れがあるものです。だからこそ、変わっていく造形と変わらない造形とを見極める必要があります。
変わらない造形とは、伝統的な造形などです。これらの造形は、スウェーデン住宅らしさを醸し出すデザインで、スウェーデン人がノスタルジーを感じるものでもあります。
例えば、シンメトリー(左右対称)デザイン、窓の大きさや配置のバランス、伝統的なディテール・・などを、モダンなデザインに取り入れる事で、新しい造形をつくり出したりします。
ディテールへのこだわり
住宅の外観を見た時に、その質感を大きく左右しているのは、外装材とディテールです。
これら材質が悪くディテールが簡素であると、時が経つにつれ住宅の外観は安っぽく見えてきます。
スウェーデンの住宅で例えば、窓回り(上下左右)にケーシング(額縁)が取り付く納まりですが、KarlsonHusでは、さらに王冠のような造作された庇が上部に乗っています。
この王冠がすべての窓に乗せられることで、全体のデザインが引き締まり、外観に上質な質感が生まれています。
このようなディテールは、省略することもできます。しかし、ディテールは単なるデザインだけでなく、実は、伝統的な造形を継承するものでもあります。
こうしたディテールへのこだわりが、KarlsonHusの造形への哲学の一つなのです。
格式ある重厚感
KarlsonHusこだわりのディテールの一つに、「Duvhylla」というものがあります。直訳すると、「鳩の棚」という意味で、鳩がとまれるような棚の形をしています。これはどこに取り付けられるかというと、住宅の角(出隅)の軒下の部分です。
「Duvhylla」が取り付けられた住宅では、あたかも住宅の角(出隅)に柱があり、それが屋根を支えているような印象を与えます。
そのデザインもまた、まるでギリシャ神殿の柱頭を彷彿させるようです。
考えてみれば、スウェーデンに限らずヨーロッパにおける歴史的建造物は、外観のディテールにもこだわり、それぞれに意味があって、格式ある重厚感を漂わせています。
そして、その格式ある重厚感は、世代・時代を超えてその価値が保持されています。
KarlsonHusが「住宅」を通して私たちに伝えようとしているメッセージは、歴史的建造物と同じなのかもしれません。
クラシック・モダン
スウェーデンの住宅デザインでは、主に伝統的造形のクラシックデザインと、現代的造形のモダンデザインがあります。元々は、どれも同じ様なデザインでクラシック調と、保守的であったのに対し、モダンデザインは過去の造形からの脱却を図っています。
しかし、モダンデザインと言えど、どこかクラシックさを感じるものを多く見受けます。一見ではモダンなのですが、よく見るとクラシックな部分があるのです。このタイプをスウェーデンではクラシック・モダンと呼んでいます。
両者は混在するのではなく同調しています。新たに白紙から何かを生み出すのではなく、伝統を基盤にして新しいものを生み出していく・・・このスタンスは、住宅を資産化させていく上でも、とても重要な発想と言えます。
造作材とインテリア
住宅外観の質感を大きく左右しているのが、外装材とディテールであるように、住宅インテリアの質感を左右しているのが内装材とディテールです。
インテリアでは、フローリング、天井、壁といった「面」に、窓やドア、階段などが組み合わされていきます。これらをつなぎ合わせるのが造作材です。
造作材とは巾木、廻り縁、ケーシング(額縁)などです。これらの造作材の形状、材質、仕上げ塗装によってインテリアの質感は大きく変わります。
例えば、白い壁や窓と同じ白い塗装仕上げの造作材を使うと、一見、造作材は目立ちませんが、日射や照明の光を受けると、造作材は陰影によってその形状を現すのです。
同じ白色であれば、造作材は省略することもできるでしょう。しかし、インテリアの質感は全く別になってしまいます。