Ventilation
住環境の制御
気密性の高い高断熱住宅では、計画換気が必須です。換気回数は、0.5回/時以上。つまり2時間毎に、家中すべての空気を外気と交換し続けなければなりません。
冬場の暖房時なら、せっかく暖めた空気を外に捨て、冷たい外気が室内へと導入されます。この換気による熱損失は、外気が寒いほど大きくなるので、省エネ住宅では、排気熱を回収できる熱交換型の換気システムが必要不可欠です。
スウェーデンの換気システムは、家中すべての空気を効率よく換気できるシステムです。トイレや浴室、キッチン(排気ゾーン)から空気を回収し、熱交換機へ取り込みます。ここで導入した新鮮外気に熱だけ受け渡し(冬場)屋外へと排気されます。排気熱で温まった新鮮外気は、寝室やリビング(給気ゾーン)へと配られます。
薪ストーブとレンジフードの排気は、住宅の換気システムと別系統とします。薪ストーブは外気から燃焼空気を個別で導入し、レンジフードが作動時は、排気風量と同等の外気を取り入れ、室内が負圧にならないよう空気バランスを取ります。

Svenska Ventilation System
熱交換機の仕組み
熱交換機は、排気ファンと給気ファン、熱交換素子の熱交換器で成り立ちます。
排気ファンは、室内からの排気を取り込み、熱交換素子を通過させ、屋外へと排出する送風機です。
給気ファンは、外から新鮮外気を取り込み、熱交換素子を通過させ、室内へと給気する送風機です。
熱交換素子は、排気と給気の空気が混ざる事なく、熱だけを交換する装置(顕熱型)です。ここが最も重要な部分で、スウェーデンの熱交換素子は、世界トップレベルの性能を誇ります。



抜群の熱回収率
例えば冬場、外気温が 7°Cで室温が 23.1°Cの場合、熱交換機を通過させると、23.1°Cの排気熱で、7°Cの外気を 22.9°Cにまで温めてしまいます。
熱回収しなければ、室温を 23.1°Cに保持するため、換気風量に対して、7°Cの空気を 23.1°Cまで上げる暖房能力が必要です。しかし熱回収をすれば、22.9°Cの空気を23.1°Cまで上げるだけの、わずかな暖房能力で済んでしまいます。
新鮮外気温 | ℃ | 7.0 |
4.2 | 5.2 | 2.8 | -11.7 |
室内から排気温 | ℃ | 23.1 | 20.8 | 20.0 | 21.7 | 21.1 |
室内への給気温 | ℃ | 22.9 | 21.0 | 19.9 | 19.4 | 18.6 |
屋外への排気温 | ℃ | 16.2 | 11.9 | 10.6 | 9.8 | 6.3 |
排気風量 | m3/h | 203 | 203 | 102 | 284 | 205 |
給気風量 | m3/h | 202 | 168 | 102 | 264 | 178 |
アルミ製の熱交換素子
熱交換素子は、熱効率と耐久性の高いアルミ製と超高効率の樹脂製で、共に対流型の熱交換器です。
排気と給気とが完全に分離されているので、トイレやキッチン、浴室の臭いや水蒸気を含む排気も回収できます。



フィルターの性能と容量
熱交換機の内部には、給気用と排気用、2つの大容量フィルターが内蔵されています。埃や煤煙、花粉やPM2.5まで取り除いてしまう性能で、きれいな空気環境を保つ事ができます。


第1種換気システム
熱交換機には第1種換気システムが必要です。第1種換気システムとは、排気と給気共に機械的なファン(送風機)で換気風量を確保します。熱交換機に集約することで、空気の温度や汚れを制御可能です。
第3種換気システムとは、排気だけ機械的なファンで換気風量を排出します。室内が負圧になることで、各部屋の給気口から自然と外気が流入します。空気の温度や汚れまで制御することはできません。


換気システムの設計
各部屋の風量は、住宅の容積から算出されます。容積半分の空気量を1時間で給気し、同時に排気します。給気口は寝室やリビングの給気ゾーンに、排気口はトイレや浴室、キッチンの排気ゾーンに配置します。
家の中では、ゆっくりと空気が給気ゾーンから排気ゾーンへと淀みなく流れるよう設計します。熱交換機では、空気の温度や汚れの制御が可能ですが、給気ゾーンで空気の除湿や加湿、清浄を行えば、家中にその効果が行き渡る・・・というわけです。
黄緑色:排気ダクト(排気ゾーン)
赤色:給気ダクト(給気ゾーン)

ダクトシステム
給気や排気の配管は、ガルバリウム鋼板製のスパイラルダクトを使用します。空気抵抗が少なく制御しやすいので圧力損失を最小限に抑えられます。水蒸気や汚れに強く耐久性も抜群です。
風量調整可能な給気・排気口、消音管や専用断熱材などを使ってシステムを組みます。住宅用のダクト直径は、100/125/160/200mmを使います。


熱交換機のラインナップ
住環境を制御する熱交換機は、定期的メンテナンスが欠かせません。スウェーデンではフィルター掃除や交換が簡単に行える家事室などに床置きします。どのモデルも、そのまま設置できるホワイト仕上げのキャビネット型です。
快適な住環境維持を担う熱交換機は、高断熱高気密や省エネ住宅において非常に重要な装置です。天井裏に埋設してしまうのではなく、日常的に点検可能な場所を設計段階で確保します。機械室として設置する住宅もあります。


RT-400S-EC
スウェーデンの伝統を受け継ぐアルミ製熱交換素子を搭載の高性能モデル。
熱交換効率:84 %(最大)
風量:50-280 m3/h
住宅:200 m2程度
接続配管:直径160mm
アフターヒーター&バイパス機能付

RT-BLUE4
最新型の樹脂製熱交換素子の熱交換器を2台搭載する超高効率モデル。
熱交換効率:98 %(最大)
風量:50-280 m3/h
住宅:200 m2程度
接続配管:直径160mm
アフターヒーター&バイパス機能付

RECOM2
最新型の樹脂製熱交換素子の熱交換器搭載の都市型モデル。2種類展開で大容量までカバー。
熱交換効率:98 %(最大)
風量:50-140(50-300*)m3/h
住宅:100(250*)m2程度
接続配管:直径125(160*)mm
アフターヒーター&バイパス機能付
* RECOM4

