外壁ブロック

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外壁ブロック

 
住宅の外壁を工場で作る意味

 
高断熱・高気密など、高性能な外壁構造は複雑です。開口部周りの処理や、気密層の位置、配管・配線のスペースの確保など、現場での作業は天候の状況や職人技術の差によって、時間を浪費したり、性能にバラツキも生じます。
 
工場の中は、必要な工具や設備、材料は全て揃っています。作業は必要に応じて、そのまま中断する事が可能。常に明るく快適な温度で、BGMが流れている理想的な作業環境です。
 
これは職人の休憩や作業時間も確実に制御できます。この作業環境こそが、複雑な構造や納まりにも対応でき、技術継承まで担うプラットフォームなのです。

住宅の外壁ブロックを作る専門工場
外壁ブロックを作る専門工場

KarlsonHus

寒さが厳しく、しかも暗く長い冬の間、屋外の現場作業がまともにできないスウェーデン。そこで確立したのが、住宅の外壁を工場で作り、それらを現場へ輸送し、クレーンで素早く組み上げる!といった合理的な手法でした。

いわゆる「Prefabricated」(プレハブ)ですが、とても重要で革新的な技術といえます。

寒い冬でも暖かで快適な作業環境
外壁ブロックに必要な部材を加工

 

外壁の仕様


住宅外壁の仕様は完全なオーダーメイド。たて枠寸法と間隔、断熱層の厚みや気密層の位置など指定の構造で仕立てます。

住宅の断面(例)
 

外壁(外部より)
 

28x45mm 外装材(リスト)
22x170mm 外装材(パネル)
28x45mm 横桟(釘桟)
22x45mm 縦桟(通気層)
防水透湿シート
12mm 構造用合板
45x170mm たて枠(@600)
170 mm 断熱材(ロックウール)
0.2mm 気密シート(気密層)
45x45mm 横桟(配線・配管スペース)
45mm 断熱材(ロックウール)
12.5mm せっこうボード
住宅の外壁断面

 
 

床(床上より)
 

18mm 構造用合板
45x220mm 床根太(@600)
220mm 断熱材(ロックウール)
6mm 防湿板(断熱材受用)
22x95mm 防湿板受材
住宅外壁のたて枠

 外壁のたて枠
 

主体構造を、スウェーデン材で枠組を作ります。
たて枠の厚みは45mm。必要な断熱材の厚みに応じてたて枠の奥行きを選べます。
 
45x145mm
45x170mm
45x195mm
45x220mm
 
たて枠間隔の基本は60cm。構造仕様に応じて間隔は指定できます。

外壁に充填する分厚い断熱材

 外壁の断熱材
 

たて枠の奥行きと、同じ厚みの断熱材を充填します。断熱材の幅は、たて枠内法より5mm程大きなものを入れ込み、断熱材のズレや沈下を防いでいます。
 
たて枠内法:600-45=555mm
断熱材の幅:560mm
 
断熱材はロックウール。不燃材で防音性に優れます。

二重構造の外壁の気密層

 外壁の気密層
 

主体構造の室内側一面に、気密シート(薄青色)を張ります。その後45mm厚の枠組を作ります。ここを配線・配管スペースとする事で、その後、気密層に穴を開ける事なく設備工事が可能となります。
 
スウェーデン向けは、専用の配線ダクト(灰色)が工場で埋設されます。この中にも45mm厚の断熱材が充填され、外壁の断熱厚として加算されます。

外壁の作製


建方(組立)を考慮し設計段階で、4mから8m程度に分割されます。作製に必要な材料や建材は、予め工場へ取り寄せ保管されます。
外壁ブロックは水平の状態で作製
 たて枠で主体の構造を組む。外壁ブロックは、水平の状態で作製されて行く。この時点で窓を取り付け、窓周りの断熱・気密処理が行われる。
外壁ブロック上部に通しまぐさを取付
外壁ブロック上部に「通しまぐさ」を取り付ける事で、将来、開口部の移動も可能。たて枠内部には、断熱材(ロックウール)が隙間なく充填される。
二重構造の外壁の間に気密シート
室内側一面に気密シート(薄青色)が張られる。45mm厚の枠組を取り付け、配線・配管スペースとなる。断熱材も充填され、外壁の断熱厚として加算。
外壁の室内側は配線ダクト用スペース
設備図に従って、配線ダクト(灰色)を埋設。ダクト内部に電気配線を現場で通す。将来のために現時点では使わない箇所にも埋設しておく。
外壁の移動に使う吊りベルト
外壁ブロックを反転(裏表逆に)して、外側に構造用合板を接合させる。上部に取り付けられた吊りベルト(白色)で、外壁ブロックを吊り上げ可能。
外壁の外側に防水透湿シート
外側一面に防水透湿シート(タイベック)を張り、縦胴縁を打つ(通気層)。縦張りのダブルパネルなど、外装材で通気が可能な場合は、横胴縁を打つ。
窓上部や下部に水切り材を取付
窓上部や下部の水切り材も、外装材を取り付けながら施工してしまう。細かな作業であるが、外壁が水平に寝ているので施工しやすい。
ファールンレッド塗装のダブルパネル
外装材や窓周りの額縁・造作材を、外装デザインに従って取り付ける。塗装済または基礎塗装済の材を使用。これはスウェーデン伝統のファールンレッド。
造作材を手作業で取付
スウェーデン住宅の外壁に重厚感がある理由は、これら一つひとつの造作材が丁寧に取り付けられているから。なかなか現場では難しい作業。
窓周りの重厚感ある造作材
「KarlsonHus」(カールソンヒュース)オリジナルの窓上デコレーション。造作材が3段重ねとなっており、格式ある重厚な外観となる「ゆえん」。
設計と工場が一体化
特殊な納まりや不明な箇所は、設計者が工場へ来て、直接打ち合わせする事も可能。設計と工場が一体化されているメリット。
複雑で異形な外壁ブロック
 外壁ブロックは、単純な形だけでなく、複雑で異形なものもある。工場では、実践を通して、熟練者から若者への技術継承が行われている。
幅の短い外壁ブロック
住宅の平面によっては、短い外壁ブロックもある。現場への搬入が狭い時や、コンテナへの積載計画によって、意図的に外壁ブロックを短くする事も可能。 
 
日本製釘や防火仕様の構造用合板の取付
 外壁ブロックの作製に必要な、日本製釘や防火仕様の構造用合板等の部材は、予めスウェーデンへ送って工場で取り付ける事もできる。
 
外壁ブロックを運ぶ専用のクレーン
外壁ブロックを運ぶ専用のクレーンで最終工程へ。外壁下部に縦方向の外装材を現場で取り付ける。外壁ブロック同士の接合部一体化のため。
完成した外壁ブロック
完成した外壁ブロック。現場の所定位置におけば、住宅外壁はほぼ完成状態。外壁ブロック同士の接合部には、専用の二重気密ゴムが取り付いている。
 
水平に取り付ける外装材
水平外装材の下地は通気が取れる縦胴縁。
小さな外壁ブロック
部位によっては小さな外壁ブロックもある。 
屋根ドーマー部分の外壁ブロック
 屋根ドーマー部分の外壁ブロック。
屋根切妻ブロックと外壁ブロック
コンテナの積載計画図に従ってパッキング。
外壁同士が動かないよう角材で固定
外壁同士が動かないよう角材で固定。
内部耐力壁も一緒に作製
 内部耐力壁も一緒に作製。
切妻壁の外壁ブロック
 切妻壁の外壁ブロック。内部が室内空間となる場合は、外壁と同様に断熱材が充填される。手前のは、切妻屋根に取り付くデコレーション。 
コンテナ積載用に分割した屋根トラス
 輸送用梱包された屋根トラス。コンテナを超える高さがある場合は、分割してコンテナに積載。現場で接合すると完全な形の屋根トラスになる。
屋根トラスを作製する工場
 屋根トラスを作製する工場。外壁ブロックを作る設備とは全く違うため、別のセクション。大きなものでは12mくらいにもなる。 
高い強度を誇るトラス構造
 勾配が緩やかな屋根トラス。住宅の屋根形状に合わせて作るオーダーメイド。屋根荷重を分散するトラス構造は、高い強度を誇る。
プレカットされた床根太
 プレカットされた床根太。根太下に付いているのが防湿材受材。ここに防湿板を載せ、その上に床用断熱材を充填する。 
輸送用梱包された屋根トラス
 輸送用梱包された屋根トラス。コンテナに入る高さであれば、完全形で輸送。建築現場では、これらを屋根に置くだけなので施工が速い。
玄関ドアと窓が内蔵された外壁ブロック
 玄関ドアと窓が内蔵された外壁ブロック。構造用合板や外装材などを、日本で取り付ける場合は、外側を輸送用保護シートで覆って工場出荷。 
テラスドアが取り付いた外壁ブロック
 輸送用の梱包が施された外壁ブロック。ソリ形状の専用土台に外壁ブロックを載せているのは、コンテナの背面ドアから外壁ブロックを引き出すため。
外壁ブロックの内側

窓とテラスドアが3つ連続する外壁ブロック。工場で内蔵してしまえば、現場での施工性が格段に上がる。室内側は、断熱材充填&気密シート取付まで。 

外壁ブロックの外側
この外壁ブロックの外側は、輸送用保護シートと保護材仕上げ。バルコニーへ続く2F用テラスドアなので、やや高い位置に取り付け。
3つの外壁ブロックを一体化して輸出梱包
コンテナに積載するため、 3つの外壁ブロックを一体化した状態。側面には保護用の板を取り付け。下部に内蔵された窓は、和室用の窓。
高さの低い2F用の外壁ブロック
 デザイン上、高さが低く抑えられた2F用の外壁ブロック。側面に見えるのは、外壁同士の接合面に取り付けられた専用の二重気密ゴム。
コンテナに積載される直前の外壁ブロック
コンテナに積載される直前の外壁ブロック。専用の土台に載せて、複数の外壁ブロックを一体化。日本へ出荷するための特別な梱包。 
部材などを保管する倉庫
 完成した外壁ブロックや屋根トラス、プレカットされた根太材など、コンテナに積載される部材は、工場出荷まで倉庫に保管。